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他の日本?

国際文化会館岩崎小彌太記念ホールで行われた記念講演に参加。(申し込んだら既に満席で、立ち見でよいならというメールが前日に届いた。キャンセル待ちで座ることができてよかった。)近刊著『他のアジア(Other Asias)』に基づいたものというだけあって7日の一橋のときよりまとまっていたが個人的には7日のときのほうが特徴が出ていて良かった気がする。上野千鶴子が、大略、1.日本がジェンダー化されているというのは今回の訪問で得た知見か?2.ドミナントフェミニズムというのはどういう意味か?と質問したが、かみ合った応答がなかったのが残念。領域横断的なだけに一つ一つについてもう少し時間があればより実りが多かったのではないかと思う。招聘したスタッフの苦労に感謝。
※講演の内容についての記述は主観的なもので演者や質問者の意図を正確に表したものではない可能性があります。

講師:ガヤトリ・チャクラヴォルティ・スピヴァク 〈Gayatri Chakravorty Spivak〉
コロンビア大学 アヴァロン財団人文学教授/同比較文学研究
センター所長; 牛場記念フェローシップ 第一回招聘フェロー
司会:鵜飼哲一橋大学教授)
日時:2007年7月18日(水)7:00 pm-8:30 pm
会場:国際文化会館岩崎小彌太記念ホール
会費:会員無料、一般1,500円、学生1,000円
用語:英語/日本語(同時通訳付き)→逐語訳に変更。

ガヤトリ・チャクラヴォルティ・スピヴァク  1942年インド、カルカッタに生まれる。1959年カルカッタ大学のプレジデンシィ・カレッジ卒業後渡米、1967年文芸批評家のポール・ド・マンの指導の下、アイルランドの詩人W.B.イェーツに関する論文でコーネル大学で博士号(Ph.D.)を取得する。現代世界における権力と知の地政学的布置に批判的まなざしを向け、既存の知の諸前提に疑問を投げかけながら、新たな思考の可能性を切り開く思想家として世界的に名高い。

主要な著作のうち日本語訳のあるものに、『ある学問の死―惑星思考の比較文学へ』 (みすず書房、2004)、『ポストコロニアル理性批判:消え去りゆく現在の歴史のために』(月曜社、2003)、『サバルタンの歴史―インド史の脱構築』(共編著、岩波書店、1998)、『サバルタンは語ることができるか』(みすず書房、1998)、『文化としての他者』(紀伊国屋書店、1990)などがある。『ガヤトリ・チャクラヴォルティ・スピヴァク』(スティーヴン・モートン著、青土社、2005)や雑誌『現代思想 特集:スピヴァクサバルタンとは何か』(青土社、1999)など、氏についての研究書も多数。

本講演では、近刊著『他のアジア(Other Asias)』に基づき、西欧による“東方進出”という軌道を反映し、また、地政文化的にも複雑な“アジア”という概念の再考を試みます。

鵜飼哲  一橋大学大学院言語社会研究科教授。 専門はフランス文学、哲学。主な最近の著書・訳書に、『応答する力―来るべき言葉たちへ』(青土社、2003)、『抵抗への招待』(みすず書房、1997)、ジャック・デリダ『生きることを学ぶ、終りに』(みすず書房、2005)、ジャック・デリダ『友愛のポリティックス(1・2)』(みすず書房、2003)など。