連続講義「大学の夜」第十一夜
あなたは誰の神話なのか?―文学研究とキャピタリズムの終わり
講師:
大野英士(フランス文学)
白石嘉治(フランス文学)
●日時:6月14日(月) 19時15分〜21時00分
●場所:早稲田大学生協ブックセンター(閉店後)今回は、この3月に『ユイスマンスとオカルティズム』(新評論)を上梓された大野英士氏と、4月に『不純なる教養』(青土社)を上梓された白石嘉治氏を講師にお迎えします。
文学はもう〜年で終わる、とある批評家が言っちゃったようですが、それはつまり文学が持つ迫真を恐れるキャピタリストの告白に違いありません。彼らは文学を無視するために必死なのかもしれません。
しかし文学はそんなにやさしくないでしょう。
大野氏のユイスマンス研究。19世紀末が落ちたオカルティズムを詳細に追いながら、ユイスマンスの迫真を明らかにするその研究は、現在のわれわれの状況に直接に関わり、脅かす危険なものです。あるいは白石氏が状況に応じて書いた論文集。そこには17世紀を中心とした氏の文学研究が詳らかにする迫真があちこちにあらわれ、現在のわれわれを誘惑してしまっています。2005年にお二人が編者となってつくられた『ネオリベ現代生活批判序説』(新評論)を思い出しましょう。ネオリベラリズム批判の端緒のひとつとなったこの本はなぜ、文学者によるものだったのか。今ならよくわかります。
資本主義に対して、文学がけりをつける時が近づいているのかもしれません。
そのとき何がおこるのでしょうか。誰が文学者になるのでしょうか。神話を書くのは誰でしょうか。ご参加をお待ちしております。