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『哲学への権利――国際哲学コレージュの軌跡』

「ロスジェネ世代と考える90年代」−オウムとは何だったのか−

早見慶子×島田裕己×大澤信亮

2009年9月11日(金)18:30〜

ベルリンの壁だけでなく、ソビエトまでが崩壊した90年代。東西の冷戦構造がなくなったあと、アメリカは、湾岸戦争を境に仮想敵を「テロ」へと変えていった。そんな世界規模の大転換の時代、日本では何が起こっていたか?

バブル経済の崩壊。55年体制終結に伴う政界の混乱。阪神大震災。そして、1995年3月の、あの「地下鉄サリン事件」──。

そう、ダライ・ラマとまで会見し、仏教を再生させようとしながら、「無差別テロ事件」を起こし崩壊していったオウム真理教も、この時代の象徴だ。その深い衝撃は今話題の村上春樹1Q84』にも響いている。

今回は『カルト漂流記・オウム篇』を刊行した元過激派・早見慶子、オウムと真っ向から向き合ったアクチュアルな宗教学者島田裕巳、話題の『ロスジェネ』 『フリーターズフリー』の編集を手がけるロスジェネ世代の批評家・大澤信亮が、オウムと現代における「信仰」ついて語り合う。

【講師紹介】

早見 慶子
戦旗・共産主義者同盟メンバー。ソビエトの崩壊を機に、党を去る。1993年の春、キーレーンのコンサートを通じてオウム真理教と出会う。その後1995年の麻原彰晃逮捕まで交流。『I LOVE 過激派』を彩流社より出版。東京理科大学薬学部卒業。

島田 裕巳
東京大学在学中に『1Q84』の一つのモデルになっているヤマギシ会の運動に参加する。大学院修了後、日本女子大教授を経て、東京大学先端科学技術センター特任研究員などを歴任。現在同客員研究員。『オウム』『日本の10大新宗教』など著書多数。最新刊に『最新・新宗教事情』(勉誠出版)。

大澤 信亮
1976年生まれ。批評家。「フリーターズフリー」組合員、超左翼マガジン「ロスジェネ」編集委員。「宮澤賢治の暴力」で新潮新人賞評論部門受賞。主な著作に「柄谷行人論」(「新潮」)、「私小説的労働と組合」(「思想地図」)、「左翼のどこが間違っているのか?」(「ロスジェネ」)など。大妻女子大学短期大学部恵泉女学園大学非常勤講師。

場所:ジュンク堂新宿店 8Fカフェ
入場料:1,000円(1ドリンク付き)
定員:40名
http://www.junkudo.co.jp/newevent/evtalk-shinjyuku.html#20090911shinjuku

ドキュメンタリー映画『哲学への権利――国際哲学コレージュの軌跡』上映+討論会

日時:2009年9月3, 8,10,11日
場所:The New School for Social Research, Cornell University, New York University, Yale University

ドキュメンタリー映画『哲学への権利――国際哲学コレージュの軌跡』
(Le droit à la philosophie: les traces du Collège international de Philosophie)

【予告編(日本語字幕版)】

――哲学の権利について、人文学の未来について、私たちは何を信じることを許されているのか?

映画「哲学への権利――国際哲学コレージュの軌跡」は、1983年にジャック・デリダやフランソワ・シャトレらがパリに創設した国際哲学コレージュ(CIPH)をめぐる初のドキュメンタリー映画である。映画は、歴代議長ミシェル・ドゥギー、フランソワ・ヌーデルマン、ブリュノ・クレマン、現副議長ボヤン・マンチェフ、新旧のプログラム・ディレクターであるカトリーヌ・マラブー、フランシスコ・ナイシュタット、ジゼル・ベルクマンへのインタヴューから構成される。この映画の目的は、現在のグローバル資本主義下において人文学や哲学の可能性を考えることであり、もっとも主要な問いは「制度の問い」である。哲学と制度の関係の問い――それはデリダが思索し実践した脱構築の核心をなす主題でもあった。

脱構築とは制度という概念がつねに問題となる制度的実践である」――ジャック・デリダ

映画は全8章で構成されているが、まず第1章「プロフィール」では各インタヴューアーが国際哲学コレージュでの経歴を語る。第2章「国際哲学コレージュの定義」では、コレージュで実践される研究教育活動の独創性が浮き彫りになる。第3章「国際哲学コレージュと大学」では、各インタヴューアーが他の学術制度とは異なるコレージュの特徴(無償性の原理、教員のあいだの平等、カリキュラムやプログラムの理念など)を物語る。第4章「国際哲学コレージュの理念」では、コレージュが提唱する「インターセクション」の理念が、英米圏の大学でのカルチュラル・スタディーズのような「領域横断性」の理念と比較される。第5章「国際哲学コレージュと経済的価値観」で描き出されるのは、グローバル資本主義下で収益性、効
性、卓越性が重視されるなかで人文科学が直面する決定的な経済の問題である。第6章「場所の問い」では、固有のキャンパスをもたない国際哲学コレージュの事例に照らし合わせて、研究教育活動とは何処でおこなわれるのか、という問いが提起される。第7章「困難」ではコレージュが現在直面しているさまざまな問題が語られる。最終章「ジャック・デリダと国際哲学コレージュ」では、各インタヴューアーが、デリダの哲学やコレージュに対するデリダの貢献について回顧的に証言する。

出演:ミシェル・ドゥギー、フランソワ・ヌーデルマン、ブリュノ・クレマン、カトリーヌ・マラブー、フランシスコ・ナイシュタット、ジゼル・ベルクマン、ボヤン・マンチェフ
音楽:matryoshka (Novel Sounds) http://www.matryoshka.jp
監督:西山雄二
助成:日本学術振興会科学研究費補助金若手B 課題番号20720002
後援:東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター(UTCP)」
上映時間:100分 フランス語(英語字幕付)
予告編(日本語字幕版):http://www.youtube.com/watch?v=D_SOo2LfHxA


【2009年9月上映日程(アメリカ)】 入場無料、事前登録不要

9月3日(木)18:00-21:00 The New School for Social Research
Room 906, 6 East 16th Street, New York, NY 10003
with discussion moderated by Simon Critchley, Zed Adams and Y. Nishiyama


9月8日(火)16:30-19:00 Cornell University (French Studies)
Guerlac Room, Andrew D. White House, 27 East Avenue, Ithaca, NY 14853-1101
with discussion moderated by Laurent Dubreuil and Y. Nishiyama


9月10日(木)16:00-19:00 New York University (East Asian Studies)
Room , 715 Broadway, 3rd Floor, Department of East Asian Studies, New York, NY 10003
with discussion moderated by Thomas Looser and Y. Nishiyama


9月11日(金)17:00-20:00 Yale University (the Todai-Yale Initiative)
Room 208, the Whitney Humanities Center, 53 Wall Street, New Haven
with discussion moderated by Haun Saussy, Yasunari Takada and Y. Nishiyama

本作品は2010年2-3月に原版をフランス各地で、日本語字幕版を日本各地で上映する予定です。基本的に自主上映の形で上映はおこなわれますので、上映希望の方は西山まで御連絡ください。
e-mail: globalCOE(at)utcp.c.u-tokyo.ac.jp

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