アイハウス連続セミナー 「語り尽くそう、教養を〜棚上げされたその真価を問う〜」
教養についてはすでに語り尽くされた感があります。つまり、「教養は長期に低落しているが、その価値は疑いもない、以上」と。しかし、疑いもないのなら、なぜ低落するのでしょうか。教養が徹底的に問われたことは、ないのではないでしょうか。あるいは、低落しているのではなく、無視され、蒸発しているのではないでしょうか。
本シリーズでは、様々な分野の第一線で活躍する方々を講師にお迎えして、大学教育、身体、政治、そして出版の視点から教養に関する固定観念や定説を検証します。コーディネーター:船曳建夫(東京大学大学院教授)
主催:(財)国際文化会館
後援:(財)国際文化交流推進協会 (財)グルー・バンクロフト基金
会場:国際文化会館 講堂定員:100名
使用言語:日本語
お申込方法:電話(03-3470--3211)、Fax(03-3470-3170)
またはE-mail (program@i-house.or.jp) で企画部宛てにご予約ください。
会費: 4回一括5,500円(国際文化会館会員/学生 1,800円)
1回1,500円(国際文化会館会員/学生500円)
※4回分一括の会費のお支払いは、2008年2月12日までに郵便振替にてお願い致します。
1回毎のお支払いはセミナー当日、現金のみでのお支払いとなります。
※予定されているテーマ、講師及び日程は諸般の事情で変更になる場合があります。講師及びテーマ
02月19日(火) 午後7時
「大学で教養は教育できるのか」
講師:船曳建夫(東京大学大学院教授)
大学教師は、ある分野の専門家であっても、広い範囲の知に関心を持っているとは限りません。一方、大学生は、まず広い範囲の知を必要とします。それなくしては、現実社会の複雑さに対応できないし、専門も選択できないからです。その「広い範囲の知」を教養と仮定すると、大学は、関心の狭い教師と、漠とした関心を持つ学生とのあいだで、「教養教育」が成り立たないまま、かつての権威の残存によって生きながらえていることになります。そこに明日はあるのでしょうか?
※大学生やリベラル・アーツ・カレッジ卒業生によるコメントも予定1948年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業、ケンブリッジ大学大学院社会人類学博士課程修了(Ph.D)。専門は文化人類学。フィールドワークをメラネシア、ポリネシア、日本(山形県)、中国、韓国で行なう。関心は、身体における自然性と文化性、儀礼と演劇の表現と仕組み、近代化というプロセス。著書に『知の技法』(共編著)、『「日本人論」再考』、『二世論』、『右であれ左であれ、わが祖国日本』など。
02月25日(月)午後7時
「『教養』としてのからだの気づき〜コミュニケーションについて」
講師:竹内敏晴(演出家)
「教養」とは、繰り返し、新しく自分がいま生きている世界を問い、編みなおすことを可能にするものと言えます。その一つのかたち、いやむしろ根底として「からだの気づき」をあげると驚かれるかもしれません。からだの感覚に目覚め、人とふれあうことの新しい局面に気づくことが、変動し続ける世界を生きるのにいかに大事か、母と子、教師と子供の関係におけるからだやことば、他者とのコミュニケーションのあり方の歴史と現在を例えば「怒り」を表すことばの変遷などを参考に考えます。1925年東京都生まれ。東京大学文学部卒業。劇団ぶどうの会、代々木小劇場などに所属の後、竹内演劇研究所を主宰。「からだとことばのレッスン」と呼ばれる演劇トレーニング法を開発し、これによる人間関係の気づきと自分を変えていく営みが注目され、心理学や教育学の学会などでワークショップを指導。宮城教育大学、南山短期大学などで教鞭をとる。著書に『ことばが劈(ひら)かれるとき』、『教師のためのからだとことば考』、『生きることのレッスン』など。
03月10日(月)午後7時
「政治と教養」
講師:田勢康弘(早稲田大学教授)
政治家や有権者、そしてそれを伝えるメディア。これらに教養は果たして必要なのでしょうか。教養は政治を理想的なものにすることができるのでしょうか。また、指導者にとって教養とは何でしょうか。学校教育を3時間しか受けていないリンカーンが、なぜ、名大統領になり得たのでしょうか。過去の指導者の例などにふれながら政治と教養の関係について考えます。
1944年中国黒龍江省生まれ。山形県出身。早稲田大学第一政治経済学部卒業。日本経済新聞社入社。記者生活のうち36年間を政治記者として佐藤栄作内閣から福田康夫内閣まで20人の内閣総理大臣を取材。ワシントン支局長、論説委員などを経て2006年退社。同年4月から早稲田大学大学院公共経営研究科教授、日本経済新聞客員コラムニスト。現在、日露賢人会議日本側メンバー。1996年日本記者クラブ賞受賞。著書に『政治ジャーナリズムの罪と罰』、『指導者論』など。03月17日(月)午後7時
対談 「活字文化の衰退?〜ネット時代の出版と教養」
講師:松田哲夫(筑摩書房専務取締役)x 鈴木謙介(国際大学グローバルコミュニケーション センター研究員)
聞き手:船曳建夫(東京大学大学院教授)
ネットなどの新しいメディアによって活字文化は衰退し、教養は低迷しているのでしょうか。現代における「教養書」は、どのようなものをいうのでしょうか。古典の新訳や新書の増加、学術出版の変化等、最近の出版の状況や読書傾向の変化などを手かがりに編集者と社会学者の立場からそれぞれ語っていただきます。松田哲夫(筑摩書房専務取締役/ちくまプリマー新書編集長)
1947年東京都生まれ。東京都立大学中退。筑摩書房に入社し、「ちくま文庫」、「ちくま学芸文庫」などを創刊。『ちくま文学の森』、『ちくま哲学の森』などのヒットシリーズ、浅田彰『逃走論』、赤瀬川原平『老人力』、藤原正彦・小川洋子『世にも美しい数学入門』、天童荒太『包帯クラブ』などの話題作を編集。TBS系テレビ「王様のブランチ」出版コーナーのコメンテーターを務め、2003年から2006年まで電子本配信会社パブリッシングリンク社長も務めた。著書に『編集狂時代』、『「本」に恋して』など。鈴木謙介(国際大学グローバル コミュニケーション センター研究員)
1976年福岡県生まれ。東京都立大学大学院社会科学研究科出身。専門は理論社会学。ネット文化や若者の内面について社会学的な立場から積極的に発言し、注目を集める。2006年よりTBSラジオ「文化系トークラジオLife」でメイン・パーソナリティをつとめる。音楽活動も行っており、サブカルチャー方面への関心も深い。著書に『〈反転〉するグローバリゼーション 』、『ウェブ社会の思想―〈遍在する私〉をどう生きるか 』、『カーニヴァル化する社会 』など。国際文化会館 企画部
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