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旅のアート/アートの旅

現代映画とメディアとの関連を独自の批評眼で考察し続ける映画評論家・赤坂大輔氏が、映画の新たな可能性について探るイベント・シリーズ‘New Frontier New Cinema’が開催される。2009年11月17日(火)渋谷アップリンク・ファクトリーで開催される第一回は、ドイツの映画作家ルドルフ・トーメ『島の探求』を上映。トーメはニュージャーマン・シネマの初期にストローブ=ユイレと最も近い関係にあったとして語られる映画作家だが、日本ではその名前や作品が紹介されることは極めて少なかった。

「トーメ監督本人の協力もあって、ムルナウ/フラハティの『タブウ』への憧憬から南太平洋ウレパラパラ島で撮った3時間を超える大作『島の探求』Beschreibung Einer Insel(1977/8)を紹介する機会を得られたのは嬉しい。残念ながら諸事情からオリジナルの16mmではなくDVDではあるのだが、ほぼ1年1作のペースで今も健在なのに、ニュージャーマン・シネマの中で一番B級映画的センスの持ち主だからか、日本では口に上るのが稀な映画作家になってしまったトーメの作品のうちでも最もレアな映画であり、製作後30年余にして最初で最後の日本上映となる可能性は高いと思われるのでぜひお見逃しなく!と言いたい。一応フィクションとしての枠はあり、島の生活習慣や言語を探求するヨーロッパ各国から成る男女のホークス的な?学者チームと現地の人々の交流を描くというものだが、ただひたすら日常生活とディスカッションが描かれるうちに、トーメの繊細この上ない被写体としての物質や人々への配慮が横溢しているのが感じられる。同じ物質への配慮という点でビトムスキーの『塵』との比較も興味深いところだろう。どちらもストローブ=ユイレの弟子筋にあたるところから納得できるところだが(ストローブを感動させたというトーメの初期短編『ステラ』やダニエル・ユイレ編集の『ジェーンはジョンを撃つ、彼がアンと関係を持ったから』など何とか見てみたい)、トーメの方は厳格であるよりはセンシュアルで、例えば下記シーンのマスターショットからクローズアップに近づき離れる構成をたどたどしい英語で語られる情報以上に沈黙から語りへの瞬間をとらえるための連続性への配慮と距離感と編集はすばらしいの一語である。」
(以上、『New Century New Cinema』の赤坂大輔氏のテキストジャームッシュ、マッケンドリックそしてトーメ『島の探求』より引用)

赤坂氏はこれまでもアテネ・フランセ文化センターで「ポルトガル映画講座」をプロデュースし、ペドロ・コスタジョアン=セザール・モンテイロらを紹介。また同じくアテネ・フランセでNew Century New Cinemaシリーズを行うなど独自の活動と論考で知られる。今回上映される『島の探求』は実に3時間10分に及ぶ大作で、今後DVDでも観ることは難しい作品。上映終了後には赤坂氏によるレクチャーも行われるので、この貴重な機会をお見逃しなく。

■日時:11/17(火) 18:30開場/19:00上映
■料金:予約¥1,800/当日¥2,000(予約共に1ドリンク付き)
■場所:UPLINK FACTORY(東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F tel.03-6825-5502 factory@uplink.co.jp)

詳細及びに予約方法はこちら
http://www.uplink.co.jp/factory/log/003243.php

『QUOTATION NO.5』(BNN新社)刊行記念トークイベント
蜂賀了(QUOTATION編集長)×永井秀二(BEAMS CULTUART by BEAMS ディレクター)
「デザイナー/アーティストが手掛けるプロダクトについて」

2009年11月17日(火)19:00〜20:00(開場18:45〜)
会場:青山ブックセンター本店内・特設コーナー
定員:50名様
入場料:無料
ご参加方法:要電話予約(ご予約いただきましたお客様にはお席のご用意をいたします。先着50名様)。店内でのイベントになりますので、立ち見でしたらどなたでもご参加いただけます。
ご予約・お問い合わせ電話: 青山ブックセンター本店・03-5485-5511
受付時間: 10:00〜22:00
(※受付時間は、お問い合わせ店舗の営業時間内となります。御注意下さい。)
受付開始日:2009年11月4日(水)10:00〜

A.A.A.「大竹伸朗公開講座 司会・浅田彰
宇和島、直島、京都 …… 旅のアート/アートの旅2009年11月17日 18:00 京都芸術劇場 春秋座 入場無料

1955年東京生まれの大竹伸朗は、武蔵野美術大学に入るも一週間で休学してオホーツク海岸・別海町の牧場で働き、やがてイギリスに留学。そうした旅の果てに生まれた作品群は、1980年代にアート・シーンでセンセーションを巻き起こし、ノイズバンドやDJなどの活動とあいまって、大竹を時代の寵児とする。しかし、大竹は1988年に愛媛県宇和島市に移り、以後、そこから膨大な作品を生み出してきた。2006年に東京都現代美術館で開催された「大竹伸朗 全景 1955-2006」展はそのひとつの集大成である。それだけではない。最近も、瀬戸内海の直島で、かつての歯科医院・兼・住居をそのままアートワークにした「舌上夢/ポッコン覗き」、さらにはアートワークがそのまま銭湯として機能するという「I[ハートマーク]湯」といった破天荒な大作を次々に完成させている。とどまることを知らぬエネルギーをもって、大竹伸朗はさらにどこへ向かおうとしているのだろうか。

http://www.kyoto-art.ac.jp/graduate/information/091017-000815.html