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「いとうせいこう『想像ラジオ』をよむ」

想像ラジオ

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若松英輔 特別講演 「いとうせいこう『想像ラジオ』をよむ」
2013年8月5日(月) / 蔦屋書店1号館 1階 総合インフォメーション
会期:8/5蔦屋書店1号館 1階 総合インフォメーション


いとうせいこう『想像ラジオ』をよむ」


今年の一月に雑誌『文藝』に掲載されてから、
この作品はみずから翼をもったかのように広く、多くの読者のもとへと飛び立っていった。
すでに自らの手元を離れてしまったと、
これを書いた作家も、作品を語ることをしていない。


書き手が作品を書いた時点では、まだ作品は完成していない。
優れた作品であればかならずそうなる。
それは、読まれることによって真の姿を垣間見せる。
優れていればいるだけ、多くの、それも時代をまたいだ読者を必要とする。
そこに本当に何が書かれているのが、書いた作家も知らないのである。


『想像ラジオ』は、現代においては封印されている
「生きている死者」を描き出した作品である。
昨今、死者を描く作品は少なくない。
だが、「生きている死者」を活写しているものは稀有である。
世界は死者と生者の協同によってなりたっている。
生者が死者の働きを見てないときも、彼らは自らの使命を果たしている。
生者を守護することは、死者に託された高貴なる務めである。
生者はそれにどう応えることができるだろう。


講演会が行われる8月5日の翌日6日は、広島に原爆が投下された。
1945年、朝、8時15分のことである。
作家原民喜はこのときのことを「夏の花」という作品に書いた。
この作品もまた、死者に導かれて書かれている。


「夏の花」と原民喜にも導かれながら、皆さんと今だけでなく、
『想像ラジオ』を読み継いで行く道を考えてみたいと思います。

                            若松 英輔


▼プロフィール
若松英輔(わかまつ えいすけ)
 1968年生まれ。批評家。慶應義塾大学文学部仏文科卒業。
 「越知保夫とその時代」(『三田文学』、2007年)で三田文学新人賞評論部門当選。
 初の本格的井筒俊彦論『井筒俊彦 叡知の哲学』(慶應義塾大学出版会、2011年)を発表。
 その他の作品として、『神秘の夜の旅』『魂にふれる 大震災と、生きている死者』
 『死者との対話』(いずれトランスビュー)、
 『内村鑑三をよむ』(岩波ブックレット)がある。


▼参加方法
 料金:¥1,000 (税込)
 お申し込み・お問い合わせ:
  代官山 蔦屋書店1号館1階店頭。お電話で予約の上での購入も可能です(03-3770-2525)。


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