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―「場」が消えて、格差が生まれた―

◆政治神学的敵対の終焉をめぐって
カール・シュミットとハンス・ブルーメンベルク

日時: 2008年12月3日(水)16:20-17:50
場所: 東京大学駒場キャンパス 8号館323教室

発表者: 大竹弘二 (UTCP)

*どなたでも参加可能です。
*使用言語:日本語 入場無料、事前登録不要

【趣旨】
1920年代から普遍主義的理念に基づく正戦思想を批判していたカール・シュミッ
トは、第二次大戦後になると、その元凶を歴史哲学的終末論に基づく進歩思想に
見出そうとする。彼にとって、あらゆる政治的敵対を終わらせようとする試みは
、かえって人類の名のもとでの最悪の殲滅戦争をひき起こすだけなのであり、こ
の世から政治神学が消滅することはありえないのである。1960年代になって彼は
、第二ヴァチカン公会議や「解放の神学」の出現といった情勢を受けて、政治神
学を再度擁護しようとするが、それに異議を唱えたのが、ハンス・ブルーメンベ
ルクであった。主にシュミットの『政治神学』(1970)とブルーメンベルクの『
近代の正統性』(第一版1966、第二版1974)を中心に展開された両者の論争につ
いて考察する。

http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/events/2008/12/post_39/

共同体と“開かれた”アート アートと公共性の関係
第一夜:アートは、何とどうやって関わっていくのか

<ゲスト>
池田剛介(美術家)
卯城竜太Chim↑Pom
遠藤水城(キュレーター)
川崎昌平(アーティスト)
杉田敦美術評論家
ほか※交渉中
<モデレーター>
Arts and Law(作田知樹)

Chim↑Pomの「ピカッ」事件、世田谷美術館での横尾忠則展での地元自治体の教育委員会が鑑賞拒否を決めた事件など、日本各地でアートと共同体との緊張関係が取りざたされた2008年。
■美術史をひもとけば、かつて公共的な空間に出現したアートの中には、リチャード・セラの『傾いた弧』、クリストや川俣正、クシュシトフ・ヴォディチコの一連のプロジェクトなど、公共空間そのものを作品/プロジェクトの成立に不可欠な場としたものだけでなく、そこから公共空間におけるアート、あるいはアートと公共性をめぐる有意義な論争を導いたものが数多くありました。
■今回のトークイベントの開催は、最近の国内での事件をきっかけにしていますが、その是非を問うたり、社会現象として論評するのが目的ではありません。インターネットの日常化やいわゆる“新公共管理”の手法が広がりつつある現代において、“アートによって開かれていく公共的な対話”を可能にする基盤をどう創るか? ということを改めて問い直す場となることを希望しています。
トークは二夜に分けて行われます。まず第一夜では現代社会で活動するアートの作家、企画者として、公共という問題をどう考え、どう関わるか、最前線に身を置く当事者たちの問題意識が浮かび上がります。そして第二夜では、第一夜で浮上した議論を踏まえ、アートに限らず、表現と公共の「コード」の関係について、法学者、アクティビスト、評論家、公共美術館の一員として奮闘してきた方々とともに、現在と地続きの未来に待ち受けている公共的な規制について考えます(予定)。
■会場の参加者も交え、ポジティブでリアリティのある討論を行いたいと思います。アート関係者、愛好者に限らず、現代社会における公共性や倫理について関心をお持ちの方など、様々な来場者をお待ちしています。
作田知樹(Arts and Law)

日時:2008年12月3日(水)20:00〜22:00
会場:Otto Mainzheim Gallery(アクセス)
定員:30人(予約制) 参加費:1,000円(1ドリンク付)

【 プロフィール 】
池田剛介 | Kousuke Ikeda
美術家。1980年福岡県生まれ。東京藝術大学大学院 先端芸術表現科修了後、文化庁在外研修員としてアメリカ留学。樹脂や鏡など、様々な素材を用いながら、近年は主に平面作品を手がける。東京藝術大学非常勤講師。
http://d.hatena.ne.jp/kosuke_ikeda/
卯城竜太|Ryuta Ushiro
Chim↑Pomリーダー。
Chim↑Pom:2005年に結成されたアート集団。2006年に開催された初個展「スーパー☆ラット」で注目を集める。「生と死」をテーマにした作品が多く、 2007年にはセレブと地雷除去をテーマにした「サンキューセレブプロジェクト アイムボカン」が広島市現代美術館「新・公募展2007」の大賞を受賞。2008年10月、広島市内上空に飛行機雲で「ピカッ」の3文字を描いたことが問題になり、11月1日から広島市現代美術館で開催される予定展覧会が中止に。現在、事件のについての本を準備中。
遠藤水城Mizuki Endo
キュレーター。アーカス・プロジェクト ディレクター。1975年札幌生まれ。九州大学博士後期課程単位習得満期退学。 2001年、福岡市で「都市型アートプロジェクト rhythm」を設立。雑誌発行、実験音楽イベント、展覧会、映画上映会、アートプロジェクト等さまざまな企画を展開。2004年、博多区に誕生した「アートスペース・テトラ 」設立の中心的な役割を担う。同年より日本財団APIフェローとしてフィリピンに6ヶ月、インドネシアに5ヶ月滞在し、現代美術の現状を調査。期間中マニラで地元アーティストと共に「Future Prospects Art Space」を設立。2005年、ベルガモ近現代美術館(GAMeC)が主催する若手キュレーターを対象とした国際賞「ロレンツォ・ボナルディ・アート・プライズ」に長谷川祐子の推薦を得て、アジア代表として参加。同賞を受賞。それに伴い2006年同美術館にて「Aesthetics / Dietetics」展(参加作家/小沢剛高嶺格ガリー・ロス・パストラナ、乃美希久子)を開催。同年「シンガポールビエンナーレ2006」ネットワーキング・キュレイターを務める。2007年、Asian Cultural Council日米芸術交流プログラムの助成により米国に滞在。同年、水戸にオルタナティヴ・スペース「遊戯室」を設立。東京芸術大学非常勤講師。Art Initiative Tokyo(AIT)による教育プログラム「MAD」キュラトリアル・コース講師。共訳書にジェイムズ・クリフォード『ルーツ -20世紀後期の旅と翻訳』(月曜社)がある。
川崎昌平|Shouhei Kawasaki
1981年生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。文章表現をベースに幅広く活動するアーティスト。著書に『知識無用の芸術鑑賞』『ネットカフェ難民』(どちらも幻冬舎新書)『若者はなぜ正社員になれないのか』(ちくま新書)がある。『美術手帖』『翼の王国』などの雑誌に寄稿。
杉田敦|Atsushi Sugita
美術批評。アートと旅、人生と友人、愛、思想が混濁。art & river bank ディレクタが混濁。女子美術大学准教授で混濁。リスボンが混濁。モランゲイロも混濁。サハラで開眼するも、ジブラルタルを渡ってアンダルシアで即座に閉眼。現在睡眠中。著書に『リヒター、グールド、ベルンハルト』(みすず書房)、『ナノ・ソート、現代美術で考察するということ』(彩流社)などがある。
Arts and Law|アーツ・アンド・ロー
芸術家の活動に関する法分野(芸術法、Art Law)の研究と情報提供を行う非営利組織。2004年に東京で設立。アーティストの自由な表現活動を励ますパートナーでありたいと考えるボランティアの専門家(主に法律、知的財産関係)が中心となって運営。アートに関連する法律や契約の知識に加え、自らアートの現場に関わり、アーティストの置かれた立場や思考にも精通している専門家が、無料のメールや対面での相談を通じて、相談者の状況に応じた的確な情報を提供している。 情報発信以外にも、文化政策への提言や、アートと社会の関わりやアート関係者同士の横のつながりを作るイベントを行っている。mixiのコミュニティには2600人を超える参加者がある。
http://arts-law.org/

CAMP: TALK: 1203

『失われた場を探して』(NTT出版)刊行記念―「場」が消えて、格差が生まれた―
メアリー・C・ブリントン×玄田有史 トークセッション

2008年12月3日(水)19:00〜20:30(開場18:45)
会場:青山ブックセンター本店内・洋書コーナー
定員:50名様
入場無料 
電話予約&お問い合わせ電話:
青山ブックセンター本店・03-5485-5511
受付時間: 10:00〜22:00
受付開始日:2008年11月7日(金)10:00〜

<イベント内容>

アメリカ人研究者の目に、日本の若者はどのように映ったのか?」ということを軸に、日米の若者労働研究を代表する二人が、日本の若い世代の格差や仕事の問題について徹底討議します。

失われた場を探して──ロストジェネレーションの社会学

失われた場を探して──ロストジェネレーションの社会学

ニート、フリーター、ひきこもり、ワーキングプア……。「場」の喪失が日本の若者にもたらした衝撃の事実に迫るロストジェネレーション論の到達点! 日米比較の観点から、日本の若年雇用の問題を鮮やかに描き出す。

【本書に寄せられた推薦文】
ニート、フリーター、ひきこもり ―─ 日本人の「まじめさ」を支えてきた〝場〟の崩壊を乗り越えて、若者たちはどう生きるべきか。ブリントン教授は緻密な調査研究の成果と豊富な実地体験をもとに、私たち日本人が常識とする若者像を見事に打ち砕いてくれる。──山岸俊男

日本の若者たちに何が起きているのか。ロストジェネレーションを生み出した原因はどこにあったのか。長年日本社会を研究してきたアメリカ人社会学者が、日本人には気づきにくい問題点を鋭くえぐる。現代日本のゆがみを見事に描き出した好著です。──苅谷剛彦

高学歴社会になり、メディアなどでも取り上げられることも少なくなった、高校卒の人たちの人生。語ること自体が、ひとつのタブーでもあった、学力レベルの問題。見落とされがちで、扱おうとすれば、きわめて微妙で難しい問題。それに対し、学校やハローワークなどの協力を得て収集されたデータの緻密な分析と、学校現場やロスジェネの若者への丹念なインタビューから、場の喪失が日本社会に与えた驚くべき事実に迫ったのが本書である。──玄田有史

【目次】
ロストジェネレーションの誕生──「場」が消えて、格差が生まれた
若者を仕事の世界に送り込むメカニズム
「場」が重要な社会、「場」が崩壊した世代
高校と企業の「実績関係」に起きた変化
ニート・フリーターはどこから生まれる?
モバイル型ワーカーの生きる道
ロストジェネレーションとポスト・ロストジェネレーションの可能性

【著者紹介】
メアリー・C・ブリントン(Mary C. Brinton)
ハーバード大学ライシャワー日本研究所教授。専攻は社会学。主な研究テーマは、ジェンダーの不平等、労働市場、教育、日本社会など。日本研究歴は三〇年以上。一九九〇年代に日本に長期間滞在し、神奈川県の高校、職業安定所などで丹念な聞き取り調査を行い、日本の経済状況の変化が若者の雇用環境にもたらした影響を研究。本書が初の日本語での著書となる。

http://www.aoyamabc.co.jp/10/10_200811/2008123.html