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素朴な事実

カバーも訳も大事ですが、『人間失格』も『カラーマーゾフの兄弟』も面白い小説だからじゃないですかね?

『カラマーゾフの兄弟』1〜5 ドストエフスキー著、亀山郁夫訳(光文社翻訳出版編集部 川端博)
『カラマーゾフの兄弟』(全4冊)フョードル・ドストエフスキー米川正夫 訳(松岡正剛の千夜千冊)
東大教師が新入生にすすめる100冊(わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる Dain)
[書評]『カラマーゾフの兄弟』亀山郁夫訳(極東ブログ by finalvent)

太宰「人間失格」、人気漫画家の表紙にしたら売れて売れて
 太宰治の代表作「人間失格」の表紙を、漫画「DEATH NOTE(デスノート)」で知られる人気漫画家、小畑健さんのイラストにした集英社文庫の新装版が6月末の発行以来、約1か月半で7万5000部、古典的文学作品としては異例の売れ行きとなっている。

 「恥の多い生涯を送ってきました」という文章で知られる「人間失格」は、太宰が自殺する1948年(昭和23年)に発表された自伝的小説。生きることの苦悩を見つめた小説には若い世代のファンが多く、52年初版の新潮文庫は602万5000部と夏目漱石「こころ」と並ぶ大ベストセラー。90年初版の集英社文庫でも40万部を超えている。

 従来の表紙は抽象画だったが、編集部は、「いかにも名作」という路線からの脱却を目指して小畑さんに表紙絵を依頼。新装版は、「デスノート」の主人公・月(ライト)を思わせる学生服姿の男の子が不敵な顔で座るデザインとなった。

 文芸作品と人気漫画家のイラストという異色の組み合わせはインターネット上でも話題になり、「このコラボ(共同作業)はすごい。カバー買いしました」との声も出ている。同文庫編集部は「コミックを読む層が興味を示しているようだ。若い読者に手にとってもらえれば」と話している。

(2007年8月18日2時1分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20070817i514.htm

人間失格 (集英社文庫)

人間失格 (集英社文庫)

新訳「カラマーゾフの兄弟」 異例のベストセラー

 ロシアの文豪、ドストエフスキーの名著「カラマーゾフの兄弟」の新訳本が26万部を突破し、古典文学としては異例のベストセラーとなっている。最終巻が出版された7月にはインターネットの文芸本ランキングで4週間連続のベスト10入り。旧訳本も相乗効果で売り上げを伸ばす。ミステリーとしてのおもしろさはもちろん、男女の愛憎や幼児虐待、テロリズムなど現代にも通じるテーマが、混とんとした時代を生きる現代人の心をとらえているようだ。

26万部突破

 「カラマーゾフの兄弟」は、1880年に出版されたドストエフスキー最後の長編小説。新訳は東京外国語大学教授の亀山郁夫氏が担当し、光文社古典新訳文庫から昨年9月、第1巻が出版された。

 新訳は全5巻。同社によると、これまでに計26万5000部を達成。同社翻訳出版編集部の川端博さんは「古典文学としては異例の売り上げ。増刷も決まり、30万部は固い」と期待を寄せる。

 最終巻が出版された7月中旬以降、インターネット通販「アマゾン」の文芸本ランキングで4週連続のベスト10入りを果たす人気ぶり。アマゾン広報も「古典文学のランク入りは珍しい」と話す。


東大教授も推薦

 世界文学の傑作のひとつと評される同著。日本でも、これまでに数多くの翻訳が出されているが、現在、市販されているのは、光文社の新訳のほかに、岩波文庫米川正夫氏訳)と新潮文庫原卓也氏訳)がある。

 新潮社営業部の河井嘉史さんは「光文社の新訳が出版される前から、ブームの兆しはあった」と話す。

 新潮社は、東京大学教授が新入生に読ませたい小説ナンバーワンに同著が選ばれているという東大出版会の月刊誌「UP」のアンケートに着目。芥川賞作家の金原ひとみさんが「上巻を読むのに4カ月。中、下巻はほぼ3日で読み終えた」と紹介した新聞書評にも目をつけ、昨年6月、文庫本の帯を作成したところ、これまでに、上、中、下巻合わせて約13万1000部と、爆発的に売り上げを伸ばしたという。

 河井さんは「帯と新訳本の相乗効果かもしれない」と話す。

なぜ今なのか

 なぜ今、「カラマーゾフの兄弟」なのか。

 光文社の川端さんは「亀山氏の新訳がリズムと勢いがあって読みやすく、若いころに読んで挫折した団塊の世代が読み直しているとともに、巧みな仕掛けがちりばめられたミステリーとしてのおもしろさが若い人に受けている」と指摘。そのうえで「19世紀末に書かれた作品だが、扱うテーマが、男女の愛憎、幼児虐待、テロリズム、父子・兄弟関係や貧困、宗教、国家など、現代にも十分通じている」と分析する。

 新訳を手がけた亀山氏も「この作品には運命とは何か、暴力とは何かという抽象的なことを、生々しく自分のこととして経験させる吸引力がある。運命を描くことで人間の存在の小ささを、また罪を描くことで人間の存在の大きさを表現している。人間の残酷さを直視して作品を書いたドストエフスキーの問題意識には現代性がある」と話している。

カラマーゾフの兄弟

 物欲の強い父と、性格や生い立ちが異なる3人の息子、そしてもう1人の私生児が繰り広げる愛憎劇。父が他殺体で発見され、兄に嫌疑がかけられ裁判となる。人間の悪魔性、神性をえぐり出す長大な思想小説で、フョードル・ドストエフスキー(1821〜81)の最高傑作といわれる

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)