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山口瞳自身

NEAT2007-07-10

瞳さんと』読了。

山口瞳というのは不思議な作家であれだけ多くのエッセイを書き、自伝的な長編小説を書きながら結局自身のことはよく分らないところがある。(徴兵中のことは記憶がないというのもその一つ)

作家の親族、しかも奥さんの本ということで、作家への興味から手に取ったが期待は良い方に裏切られた。これは、作家について知りたいと思っていることに応えてくれる本というよりも、作家「山口瞳」をより魅力的に感じさせる一種の「相聞歌」である。

最近読んだ『山口瞳の行きつけの店』も題名からするとグルメ本か名店案内と誤解されるかもしれなけれど、実際は全く違っていて「山口家の物語」として独立した作品という気がする。(『親子三人』『ぼくの父はこうして死んだ―男性自身外伝』もたまたま作家を父に持った人の追想ではなく独立した作家の作品として興味深い。)

ともあれ、最近『『洋酒天国』とその時代』も出たそうなので、次はそちらを読んでみようと思う。

※追記
書評のメルマガによると『国立の先生山口瞳を読もう (柏艪舎文芸シリーズ)』というさんのまるごと1冊山口瞳本が8月6日に出るそうです。
http://blog.mag2.com/m/log/0000036518/

そういえば、『男性自身』のどこかに常盤さんに薦められてアーウイン・ショー(アップダイクだったかもしれません)を読むように言われたということが書いてあった気がします。楽しみですね。
『還暦老人ボケ日記 男性自身シリーズ』
「一月二十四日(土) 曇
 アーウィン・ショー『夏服を着た女たち』(常盤新平訳・講談社刊)を読む。以前から、僕に似ているから読め読めと言われ続けてきた短編集だ。出来栄えは別として、本当に気持ちが悪くなるほど似ている。文章の呼吸がよく似ている。イメージが飛んでしまって読み辛いことや題名のつけ方まで似ている。僕は若い頃はウイスキイのストレイトをがぶがぶ飲みながら小説を書いたものだが、アーウィン・ショーはどうだったのだろうか。どうやら僕は生まれた国と時代とを間違えてしまったようだ」(P50)

http://hakurosya.com/index.php?pageId=71