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ボランティア活動がナチズムを育てた

シビル市民講座 第23期】 2015年4月〜12月
池田浩士の不連続講座
ファシズムとボランティア─ 自発性と社会貢献の歴史を問いなおす ─


第2回 7月5日(日)14時〜17時 ヒトラーの権力掌握と「労働奉仕」の組織化─ ボランティア活動がナチズムを育てた


 日本の近現代史と深い関係を持つヒトラーのナチズムは、さまざまなボランティア活動を活用し組織化することで、「国民」に生き甲斐を与え、支持率をますます高めて支配権力を維持しました。なかでも「労働奉仕」と呼ばれる自発的なボランティア労働を、周到に組織し、社会全体をボランティア国家としたのです。なぜ人びとはナチスを支持したのか ─ という問いに、具体的に迫っていきましょう。


 「ボランティア」は、もっぱらプラスのイメージで肯定的に語られます。それも当然のことでしょう。自分が持つ力を、それが必要とされるとき、必要とされる場で、必要とする他者のために役立てるというのは、社会的な存在である人間にとって、もっとも大切な行為の一つであり、その行為によって得られる充実感は、もっとも大きな喜びの一つであることに、疑いはないからです。
 では、この、いまに始まったわけではない「ボランティア活動」には、どんな歴史があるのか? あるいは、私たちが生きる現実の前史としての近現代の歴史のなかで、どのような意味を持ったのか? ─これを問い、これを考える機会は、これまでほとんどなかったのではないでしょうか?
 じつは、この問いは、戦争とファシズムの世紀といわれる20世紀の歴史を振りかえるとき、大きな意味を持っています。さらにこの問いは、これから私たちが向き合わねばならない今後の歴史にとっても無関係ではないでしょう。もう少し詳しく言えば、広い意味でのファシズム社会は、ボランティアとの密接な関係の中で形成され運営された、というのが、歴史の現実なのです。ドイツでも日本でも、そうでした。
 この歴史の現実を、事実に即して掘り起こし、では私たちはその現実を前にして何を考え何をするのかを、ともに模索したいというのが、この「不連続講座」のテーマです。── ボランティアに行く前に、せめてボランティアの歴史を知るために!


会場 柴中会公会堂(地図参照 JR中央線立川駅南口徒歩3分 モノレール立川南駅徒歩1分)
定員 35人 定員一杯になり次第締め切ります。
受講料 1回 1200円、会員・学生・経済的困窮者1回 1000円(全回前納者4000円・会員3000円)
お問い合わせ/お申込み シビル1階事務室(午後1〜7時 メール申し込みも可)
Tal&Fax:042-524-9014 Mail:civiltachikawa@yahoo.co.jp


オススメ 郵便振替口座 口座番号「00170-0-481827 シビル運営委員会」
振替用紙に、どの回を申し込むか、氏名・住所・電話・メールアドレス等を明記してください。


講師略歴:池田 浩士(いけだ・ひろし)さん
 1940年大津市生まれ。慶応義塾大学大学院博士課程修了。1968年〜2004年、京都大学勤務。京都大学名誉教授。主な著書、『ファシズムと文学─ヒトラーを支えた作家たち』(白水社 1078)、『火野葦平論─〔海外進出文学〕たち』(インパクト出版社 2000)、『虚構のナチズム─「第三帝国」と表現文化』(人文書院 2004)、『石炭の文学史』(インパクト出版社 2012)など。


シビル市民講座第23期 ファシズムとボランティア